
浮気・不倫中の人にすすめる定番小説
いま現在浮気・不倫している人の中には、
もともと、さも男なら浮気するのが当たり前、というような人ではなくて、
全然そんなつもりなかったのに、なんらかのきっかけでついついそういうことになっちゃった人が多い。
そういう人は浮気中、不安になることがあると思う。
他の人はどんな気持ちで浮気してるんだろうって。
正式パートナーに対する罪悪感に苛まれたりもするだろう。
でも内容が内容なだけに、安易にだれかに相談するわけにはいかない。
社内不倫ならなおさら相談する人は近くにいなかったりする。
そんなとき、救いになるのが浮気・不倫を題材にした小説だ。
2時間の映画では短すぎるけど、
小説ならじっくり考えることができて、他人の人生を擬似体験させてくれる。
今日はウワついていて、不安になっている人たちに、定番の浮気・不倫小説を紹介する。
男性目線なら渡辺淳一「失楽園」
失楽園(上) (講談社文庫)男性なら渡辺淳一の失楽園がやはり定番。
50代の閑職に追いやられた男性が30代の既婚者と恋に落ちるストーリー。
発表当初は日経新聞の連載小説で話題になった。
濡れ場の描写が多く、
- 中年の恋に憧れた
- 同じ経験をしていて共感してしまった
- ただの官能小説として読んだ
- 日経だからちょっと知的に感じてしまった
などを話題の理由と推察する。
映画にもドラマにもなっているので、今でも有名な作品。
最後は衝撃の結末で、どこまで共感できるか分かれるところ。
エンターテインメント小説としてはとても面白く読める。
ただ文学性を求める人には少々物足りないかもしれない、渡辺淳一の小説は。
女性はもちろん、男性でも楽しめる林真理子「不機嫌な果実」
不機嫌な果実 (文春文庫)男性でも女性でも、林真理子の不機嫌な果実は楽しめると思う。
不機嫌な果実は1996年の作品で、1997年と2016年の2回もテレビドラマ化されているので、客観的評価は折り紙付き。
小説の舞台は1996年なので、携帯がなく、固定電話でのやりとりなど時代性を感じるが、文章は林真理子ならではの文学性があり秀逸。
既婚女性が独身男性と不倫する話であるが、女性が男性のようなさっぱりした性格で、男性の側の嫉妬心が女性っぽいため、浮気中の男性でも同じ目線で十分楽しめる。
恋愛かけひきの描写は以下のように示唆に富んでいる。
これはもしかすると、息子を持ち、溺愛した母親が陥りやすい暗さかもしれない。どんなことをしても、この世で最も愛する男、つまり息子と寝ることの出来ない母親というのは、たえず欲求不満をくすぶらせているものだ。
そもそも今朝クローゼットの中から極上の下着を選び出した時から、麻也子の不倫は始まっているのである。(中略)たいていの男たちは、その時許してもらったと考えているが実は違う。女たちの許しというのは、それより十時間前、下着を手にとった時に行なわれているのだ。
買い被りは、男の気持ちが既に愛情すれすれのところまで来ている何よりの証だ。
林真理子の「anego」も同じく楽しめる作品。いやむしろ怖さを楽しむというか…
anego (小学館文庫)ダメなセックスがわかる村上由佳「ダブルファンタジー」
ダブル・ファンタジー 上 (文春文庫)やはり恋心を学ぶには女性小説家のほうがよい。
ダブルファンタジーは脚本家の女性が、10年連れ添った旦那と別居し、複数の男性と体の関係を持つストーリー。
性的描写が多く、女性の性との向き合い方と婚姻関係について丁寧に書いている。
なにより男性が読まなければいけないのは、
セックスの下手な男と、セックスの上手な男の対比である。
村上由佳は、表向きはこの作品を、女性の性や女性の独立、結婚というものについて描いたはずだが、
裏では世の男性に向けて、いかに間違ったセックスをする輩が多いことか戒めるために描いた、と思われる。
それくらい、下手な男性への描写はけちょんけちょんである。
セックスは女性を悦ばせるためにするものである。
気持ちいいエッチをするには?相手を悦ばせようとする気持ちが大切!
このことが理解できない男性は、この作品を謹んで読まなければいけない。
以上、浮気・不倫に対する同調ができて、楽しめる小説を紹介した。
いずれも長編小説なので時間があるときに、じっくりどうぞ。
(敬称略)